知覚-行為デザイン論

日曜日, 5月 08, 2005

インタフェースとふつうなデザイン

UIのデザイン実はみんな「ふつう」がすきだ.奇抜で目新しいインタフェースは最初だけは着目されるが,生き残るのはその環境になじんだインタフェースである.

環境になじむ

ふつうのボタンのオブジェクトを使い,ふつうのプルダウンメニューを使うということだ.つまりどういうことか.WindowsというOS上で使われ るソフトウェアを目指す限り,Windows上においてふつうであることが重要になる.目新しい新しいインタフェースは着目されるが,使われない.これは ある意味で悲しい現状だが,ふつうということこだわることで新しい?UIの可能性がみえてくる.

異端

たとえば,Flashがなぜ嫌われるか.それはいくつかの理由があるとは思うが,WebでふつうなのはやはりHTMLでレンダリングされたものなの だ.みんなそれがふつうだと思っている.一方テレビゲームの世界はカラフルで動き回るのがふつうだ.そこにたくさんの文字が並び,Webページのようで あったらそれはうんざりしてしまう.

なんだふつうじゃん

デザイナー深澤直人は,「ふつう」をデザインするという.彼はその場所・時間すべてを考慮して,ふつうをデザインする.「なんだふつうじゃん」それはほめ言葉だという.「じゃあ,いらないか?」というと「いや,いるいる」というようなそういったデザインがいいという.

ソフトウェアのUIも実に似ている.むしろ,実世界より「ふつう」が好まれる世界ではなかろうか.深澤直人の考え方でUIのデザインをするのであれ ば,もう何もデザインする必要はない.そこにあるUIコンポーネントを使えばいいだけだ.いわゆるプログラマーががんばってデザインしようとすればするほ ど,それは醜くなることもよくある.個性が表れるUIはよくないのである.UIが環境であるかぎり,個性の存在は「ふつうではない」ことでしかない.

もちろん,WindowsのUIがすばらしいということを言っているのではない.そして目新しいインタフェースが悪いといっているのではない.目新 しいインタフェースが「今」「この場所」においてふつうではないということが問題であり,WindowsのUIがふつうになってしまっていることが問題な のである.これは普及や社会経済にも絡んでくる問題であり,個人ではどうしようもない問題である.

「良さ」の定義は実は環境がかなり依存しているのである.

ふつうを越えるには?

もし,新しいインタフェースを売り込むであれば,状況もいっしょに提供することが重要になってくるだろう.あるいは,専用端末として売り込むほうがいい.それがふつうであるということをセットにして売り込むことだ.

実は,Memoriumも「ふつ う」への対策を考えていた.それは「全画面」表示という戦略である.もうあなたのPCはWindowsではなくMemoriumなんだ.どこにも Windowsのウインドウなんて見えない.Memoriumというハードウェアが目の前にあるんだ.というふうに思わせる.Windowsの中で使って もらうソフトウェアではなくて,Memoriumを眺めてもらう.それがねらいだった.

全画面表示はある意味ではWindowsのふつうを乗り越える方法だ.しかしそんなリッチにPCを使う人間なんて今はいない.Webをみなくてはな らないし,メールだってしなくてはならない.そもそもマルチタスクという概念が根底にあるわけだから,どうしようもうない.そう簡単には「ふつう」を乗り 越えることはできないのである.

実はMemoriumは公開する気は全くなかった.「これは日常的に使うソフトということ考え方だけど,これは今は流行らない」ことは直感でわかっ ていたからだ.ただ,中には専用PCを用意していただいた方もいるようだ.それは本当にすばらしいことだし感謝している.専用化する機器が格安に手に入る 環境になれば,状況は変わると思う.

ユーザーやっていることをみればわかる

使えるデザインとはWindowsを理解することだ.Windowsを使っている人をよく理解する.マウスとキーボードをよく理解する.じつはそういうことである.

開発者は心からユーザーに合わせたいのであれば,Windows(OS)に合わせなければならないのである.実世界はだれの所有物でもないから環境 に合わせるというのは美しく理想に感じさえする.しかしWindowsはMicrosoftがつくった環境である.そこに合わせるのは不満さえ感じてしま うが,ユーザビリティとは己の投入ではなく,己を消すことである.

Windowsなんかだめだめだ.Microsoftなんて大嫌い?もっと革命的なソフトウェアを使いたいんだ.俺はよく新しいかっこいいソフトを注目している!そういう人は少なくない.

ほほう.

あなたの選んだフリーソフトウェア,お気に入りのソフトウェアをみればよくわかるはずだ.いかにWindowsという枠組みからはみ出さず,余計な ことをしない,よりWindowsらしいソフトを使っているかを.なんだ,ふつうじゃん.もちろん,あなたはまったく悪くない.

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